職場にSさんという同僚がいる。
50代で俺の倍近く生きている筈のSさんは、とにかく仕事ができない。
専門的なスキルを要する業務は勿論のこと、簡易的な作業ベースの業務すら満足にできない。
なので彼に仕事を振るのはとても難しく、Sさんは日中の多くを社内散歩をして過ごす。
Sさんは最難関私立大学郡でくくられる某有名大学卒。どうやらお勉強は得意だったらしい。
にも関わらず15回の転職を繰り返し、現在16社目。
16社目???
そんな人いるのか?と初めは驚いた。
しかし普段の彼の立ち振る舞いを見ていると、そうなるのも不思議ではないのがよく分かる。
Sさんの特徴を端的に書くと、
・同時に2つ以上の業務をこなせない
・業務に優先順位をつけられない
・報連相ができない
・分からないことを分からないと言えない
・ミスが発生した時に自分のせいではないと言う
・ミスの経験を活かせない
・拘らなくていいポイントを無駄に拘る
・やらなくていい仕事に熱中する
・自分のやった業務を周りに言いふらす
・自分は仕事ができていると思っている
…やべ、止まらん。
上記は仕事に関する部分だけだが、仕事外の特徴をピックアップすると、
・話題がないのに無理に話しかけてくる
・何を言っているのかよく分からない
・行動全てが遅い
・話す時の手振りが凄い(大袈裟な手話レベル)
・プライドが高い
あの異常性を言語化するには難しいが、こんなところだろうか。
一言で言えば尋常じゃないレベルで空気が読めないのだ。
なんでこのタイミングでこの話?
なんでこのタイミングで割り込んできたの?
とにかく全ての間が悪い。
仕事の能力も含め、ずっとこんな調子なので職場では腫れ物扱いされている。
15回転職も納得がいく。
(そんな彼を入れた弊社もどうかと思うが…)
ここまで散々書いてきてわざわざ言わなくても分かるだろうが、俺はSさんが嫌いである。
Sさんの特徴から何らかの発達障害かもしれない。しかしそれでも嫌いなのだ。
良いところを見付けて、嫌悪感と中和しようと考えたこともあったが、そもそも会話すること自体イライラしてしまうので良いところを見付けられる訳もない。
まぁなるべく関わらんでいよう…と以前よりなお話さなくなった。
それから暫くして
Sさんは鬱を発症した。
Sさんを壊したのは我々なのかもしれない。
しかしそんな姿を見ても…。
Sさんには悪意も悪気もない。
しかし周りの俺たちにもそんな気はないのだ。
仕事が極端にできない人や、話が全く噛み合わない人を何となく嫌になるのは至極真っ当なのだ。
仮にSさんのフォローに尽力したら、俺たちが壊れていただろう。
俺たちは悪くない。
堕ちていくSさんを横目に、今日も黙々と仕事をしている。